つらつら思うこと

特にテーマは決めずに書きます

新潮日本古典集成/伊勢物語

f:id:nobinyanmikeko:20170916201621j:plainAmazonのもったいない本舗に注文していた「新潮日本古典集成/伊勢物語」(渡辺実校注、1976年7月初版、新潮社)が届いた。

41年前の初版本だし、¥246の格安な値段だったけど本体にはほとんど傷みは無い状態。新品同様と言っても良い。函の周りのパラフィン紙に一部破れがあり、帯に色褪せはあるけれどほとんど気にならない。


101段の歌が『人をおほみ』ではなく『人おほみ』になっていたり、107段の『まだ若ければ』の『まだ』を本文に入れているのは他の多くの校注本とは違っているが、何故そうしたかの説明が欲しいところ。

校注部分の書き方は一般向けを意識した書き方のような感じなのに解説は本格的な論文になっていて、この落差は何なのだと思う。

解説の「みやび論」にも疑問がある。伊勢物語は一貫して田舎人を見下す姿勢で書かれていると主張しているが、41段の「むさしのゝ心なるべし」は東国人を持ち上げていると思うが。結局、伊勢物語を貫通する一つのテーマを求めること自体無理があるのではないか。

伊勢物語に就きての研究・補遺・索引・図録篇

f:id:nobinyanmikeko:20170908081420j:plain広島のアカデミイ書店に注文していた「伊勢物語に就きての研究・補遺・索引・図録篇」(大津有一編、1961年12月初版1968年3月3版、有精堂)が届いた。

大学図書館除籍本とのことで函無し裸本だけど中は綺麗で¥1,000という破格の安さだった。見返しに鈴峯女子短大図書館というシールが貼られていた。

補遺篇はなかなか盛り沢山で読みでがありそう。これだけでも数千円の価値はありそうだ。

索引篇は「伊勢物語総索引」(大野晋・辛島稔子編、1973年5月、明治書院)と比べると、伝定家筆本だけでなく、いろいろな異本に出て来る語までカバーしているというのも良いのだが、何ページの何行目と書いてあるだけではなくて、どういう文脈の中で使われているのかが索引を見るだけで判るというのが凄い。

図録篇は伊勢物語絵の図版が載っているのかと思ったら絵の図版ではなくて写本の文面の写真だった。これは見開き2ページ程度の写真ではあまり意味がないような気もするが。

精選古典14伊勢物語

f:id:nobinyanmikeko:20170908062630j:plainAmazonのBook Cloud Tに注文していた「精選古典14/伊勢物語」(西谷元夫著、1986年6月初版1995年7月増補8版、有朋堂)が届いた。

コンディション表示:可(天・小口・地に汚れ・埃シミ、表紙にヤケ・シミ・擦れキズ・ヨレ等の傷み見られます。背表紙に強いヤケあります。)……ということだったけど、全然そんなことは無くて新本同様と言って良い綺麗な状態で書込みも無い。1円本なのにこの状態はありがたい。

西谷元夫氏の伊勢物語の参考書はもう一つあるようだけど、そちらはAmazonで¥1,800とやや高いので当面見送ることにした。

この本、底本について何も書かれていないけれど本文からみて天福本と思われる。ただ、日本古典文学大系翻刻ミスの箇所は正しい表記になっているので古典大系は使っていないようだ。日本古典文学全集かあるいは鈴木知太郎氏の校註伊勢物語笠間書院版あたりを使っているのかな。

細川家永青文庫叢刊第十巻 伊勢物語・大和物語

f:id:nobinyanmikeko:20170908035506j:plain臨川書店に注文していた「細川家永青文庫叢刊第十巻 伊勢物語・大和物語」(永青文庫編、迫徹朗解題、1984年7月、汲古書院)が届いた。

中を見たら既に所持している勉誠社文庫の「永青文庫所蔵 片桐洋一編 伊勢物語」と同じものだった。影印部分のサイズもほぼ同じで、汲古書院版は薄く写っているページが若干あるので見やすさでも勉誠社版の方が上。解題も勉誠社版の片桐洋一氏の解題の方が的確な内容。

ただ汲古書院版は大和物語も収められていて、これもなかなか貴重な本のようなので別に無駄ではないし、もしかしたら伊勢物語は同一本かも知れないというのはある程度予想していたこと。

臨川書店はクレジットカード支払い以外は代金引換便というちょっと珍しいシステムだけど、代引手数料が思ったほど高くなくて助かった。

伊勢物語全釈(中野幸一・春田裕之)

f:id:nobinyanmikeko:20170908030512j:plain伊勢物語全釈」という本は二つあって、森本茂氏の「伊勢物語全釈」(1973年7月、大学堂書店〈京都〉)は既に持っているし重宝しているのだが、もう一つの「伊勢物語全釈」(中野幸一・春田裕之著、1983年7月初版2000年7月再版、武蔵野書院)も購入した。

何だかAmazonではとんでもない値段がついている(https://www.amazon.co.jp/gp/aw/ol/4838603169/ref=mw_dp_olp?ie=UTF8&condition=all)けど出版元に注文すれば新本がずっと安く買える。(http://www.musashinoshoin.co.jp/shoseki/view/1115/%E4%BC%8A%E5%8B%A2%E7%89%A9%E8%AA%9E%E5%85%A8%E9%87%88/8

森本茂氏の「全釈」はA5版で500ページ近い大著だけど、この武蔵野書院の「全釈」はB6版でページ数も森本「全釈」のほぼ半分のコンパクトな本。「全釈」はやや大袈裟で通常の訳校注本だ。

「中野幸一・春田裕之著」とあるので中野幸一氏の「対訳古典シリーズ/伊勢物語」(1990年6月、旺文社)と比較してみると、解説の文章がほぼ同じだから解説は中野幸一氏が書いたのだろうと推察できる。一方、訳・語釈は全く違うので春田裕之氏が担当したのだろう。ただ巻末に加えられている定家本に無い19段については訳・語釈とも「対訳古典シリーズ」と同じなのでここは中野幸一氏が書いたものと思われる。

随所に九曜文庫蔵という奈良絵本の挿絵が使われていて楽しいが、九曜文庫というのは中野氏の蔵書を早稲田大学に寄贈したものらしい。

春田裕之氏は海城高校教諭とのことで、いろいろ学習参考書を書いている人らしい。
https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC-%E6%98%A5%E7%94%B0-%E8%A3%95%E4%B9%8B/s?ie=UTF8&page=1&rh=n%3A465392%2Cp_27%3A%E6%98%A5%E7%94%B0%20%E8%A3%95%E4%B9%8B
この本は学習参考書より少し上のレベルの読者を想定した本ということなのかな。

鈴木知太郎校註《校註伊勢物語》武蔵野書院版

f:id:nobinyanmikeko:20170906004445j:plain昨日9月5日に、栃木の文学堂書店に注文していた「鈴木知太郎校註《校註伊勢物語》武蔵野書院版」が届いた。

鈴木知太郎氏の《校註伊勢物語》は武蔵野書院版と笠間書院版の二種類があって、笠間書院版はすでに持っているので武蔵野書院版と比較してみようと思って購入した。

笠間書院版が巻末に冷泉為和筆本の影印を収めているのに対して武蔵野書院版は伝定家筆本の影印を収めているのだろうということは予測していて、それはその通リだったのだが、こちらは活字による本文が無くて縮小された影印の上部の欄外に校註が書かれていて、校註の内容も笠間書院版とは全く違っている。
例えば冒頭の初冠だとこんな感じだ。

【武蔵野書院版】
◯うゐかうぶり━━「叙爵の事」とする説(愚見抄、折口博士著伊勢物語私記等)と「元服の義」とする説(直解、闕疑抄、拾穂抄、臆断等)とがある。
◯かすがのさと━━大和国添上郡春日郷。「和名抄、添上郡春日郷。今奈良町是なり。万葉集借香に作る。但その南部なる紀辻紀寺辺は大宅郷の中なりけん」(大日本地名辞書)
◯しのぶずり━━「陸奥信夫郡より草摺て出せる名物なり」(臆断)なお新釈、箋等の諸注もほぼ之に等しい。

笠間書院版】
(1)元服。一説、叙爵。
(2)現在の奈良市春日山の南麓辺か。
[「しのぶずり」の注なし]

これはもう全く別の本だね。

本のサイズがB6版相当と小さい上に1948年刊なので紙質も悪く、あまり読みやすい状態では無いのだが、よく見ると1963年刊の影印本では写っていない字が写っていたりするので調べると面白いかも知れない。

いせものかたり

f:id:nobinyanmikeko:20170830163342j:plainAmazonのもったいない本舗に注文していた「いせものかたり」(鈴木知太郎・田中宗作編、おうふう)が届いた。

¥1だけど若干の鉛筆による書込みはあるもののほぼ綺麗な状態。

表紙に変体仮名で「いせものかたり」とあるだけで内容が全く判らないままというか判らないからこそどんな本だろうと興味を持って注文をしてみた。

表紙の写真の印象からは影印本かもと思ったけど影印本ではなく普通の校注本だった。ただ巻末に桂宮本業平集の翻刻が収められているのは思いがけない収穫。

この本は1960年に初版が出て、38年も経った1998年に重版が出ている。今回購入した本は1998年の重版の方で、巻末の参考文献一覧は1982年に発行された本まで載っている。
鈴木知太郎・田中宗作編となっているけど鈴木知太郎氏は1977年に亡くなっているし、田中宗作氏が追加分を書いたのだろうか。
ところが田中宗作という人は「伊勢物語研究史の研究」(1965年、桜楓社)の著者として名前は見かけるものの、ネットで検索しても何もヒットしない謎の人物だ。

というわけで、この本自体ほかの研究書等に参考文献として載っているのも見たことが無いし謎の多い本だ。


追記
この本の本文を鈴木知太郎校註「校註伊勢物語」(笠間書院版)と突き合せてみたら仮名遣いや漢字の宛てかた等に違いが見られる。
鈴木知太郎・田中宗作共編とあるものの、おそらくは実際の編者は田中氏の方で、鈴木知太郎氏は名義を貸しただけなのではないだろうか。
無名の若い研究者が本を出す時によく使われる手で、大日本国語辞典が出る時に当時無名の松井簡治氏の名前では売れないと判断した出版社が上田萬年博士の名を借りて上田萬年・松井簡治共著として出版したのは有名な話だ。

追記の追記
田中宗作氏について多少のことが判ってきた。
1914年生で1989年没。1958年の日大文理学部発足当時国文科助教授でこの頃の教授の一人が鈴木知太郎氏。「伊勢物語研究史の研究」は博士論文として書かれ、この論文で1965年に日大から博士号を受けている。同年同論文が桜楓社から出版される。他に「百人一首古注釈の研究」(1966年、桜楓社)
という著書もあるようだ。
1989年に亡くなっているから「いせものかたり」が重版された1998年には既に故人になっていたんだね。
1958年当時44歳でまだ助教授だったり、博士号を受けたのが51歳の時だったり、研究者としてはあまり日の当たらない存在だったのかな。

追記の追記の追記
この本は1957年に「校訂伊勢物語新註 附在原業平朝臣集」として田中宗作氏の名で東宝書房から刊行された本の再刊のようだ。
桜楓社から再刊される際に鈴木知太郎氏との共編という形にしたものと思われる。