つらつら思うこと

特にテーマは決めずに書きます

伊勢物語69段の狩の使の話はどこまで事実か。

片桐洋一氏は「鑑賞日本古典文学・伊勢物語」等で清和天皇の時代に狩の使が派遣された記録が無く、また清和天皇は鷹狩りも行わなかったほどに殺生を嫌う性格だったから69段に書かれたことはフィクションであり、業平自身が唐の元稹の「會眞記(鶯々傳)」をモチーフとして創作したものだとの見解を述べ、内田美由紀氏などもこの見解を支持しているようだ。(もしそうであるなら三代実録の「略無才學」という評価に反して業平は漢学の素養があったということになる)

一方で奈良の不退寺に伝わる伝承では業平が伊勢神宮に参詣した時に平城天皇の霊を鎮めるために平城天皇旧居の跡地に寺を建立せよとの神託を承けて建立したのが不退寺であるとされており、伊勢神宮参詣自体は事実ではないかとの見方もある。

田中久三氏はこれは清和天皇の時代ではなく文徳天皇の時代であり、伊勢斎宮晏子内親王、男は在原棟梁としているが、年齢から言って棟梁は考えにくいだろう。晏子内親王清和天皇即位とともに退下して恬子内親王と交替しているが、これが858年なので業平は数え34歳。紀有常は数え44歳だから業平の妻になった有常の娘はまだ20歳前後だろう。となると有常の娘の子である棟梁は既に生まれていたとしてもまだ子供だから。また晏子内親王文徳天皇の死によって退下したもので何らかのトラブルがあった形跡はない。

ところが晏子内親王の妹で賀茂斎院を務めた慧子内親王は不審な辞め方をしている。857年に理由が明らかにされることなく過ちがあったとして退下させられている。

http://kamosaiin.net/aoi04.html

慧子内親王が844年生まれとすれば賀茂斎院に卜定された850年には数え7歳、退下させられた857年には数え14歳ということになる。
理由が明らかにされていないだけにいろいろな憶測がされたであろうことは想像に難くない。

私は伊勢物語69段は賀茂斎院慧子内親王の退下事件をモチーフにして伊勢斎宮に置換えた創作だったのではないかと考える。

『月やあらぬ』の歌の恋の相手は染殿の后か

伊勢物語第4段の昔男の恋の相手は一般には二条の后藤原高子とされているがいろいろ疑問点もある。

第6段の終りに「白玉か……」の歌に続けて

これは二条のきさきのいとこの女御の御もとにつかうまつるやうにてゐたまへりけるをかたちのいとめでたくおはしければぬすみておひていでたりけるを御せうとほりかはのおとゞたらうくにつねの大納言まだ下らうにて内へまいりたまふにいみじうなく人あるをきゝつけてとゞめてとりかへしたまうてけり。それをかくおにとはいふなりけり。まだいとわかうてきさきのたゞにおはしける時とや。

とあることなどが相手は二条の后高子とする根拠になっているようだが、実践女子大学蔵異本伊勢物語のように「白玉か……」の歌で終っている本もあり、「これは二条のきさきの」以下は後人による六段の解釈と考えるべきであって、それをそのまま歴史的事実と考える必要はない。

伊勢物語106段の「ちはやぶる神世もきかず……」の歌は古今集では

二条后の春宮の御息所と申しける時に御屏風に龍田川に紅葉流れたるかたを書けリけるを題にてよめる

という詞書がついていて、二条の后高子が春宮(貞明親王)の御息所であった時期、つまり貞明親王立太子の869年から貞明親王陽成天皇として即位した876年の間にこの歌が屏風絵に添える歌として詠まれたことがわかる。
これは片桐洋一氏によれば二条の后の部屋が当時の宮廷の文芸サロンになっており、業平は二条の后のお気に入りの歌人の一人として出入りしていたとされる。
もし6段の終りに書かれたことが事実であるなら何故業平が二条の后の部屋に出入りできたのか不可解と言わねばならない。
また業平は基経の四十の賀に呼ばれて歌を詠んでいるし、業平の孫娘は国経の妻になっていて、業平と摂関家は決して敵対的ではない。

一方塗籠本では第3段の終りに

五條后のいまだ御門にもつかうまつらでただ人にておはしける時のことなり。

とあり、これだと相手は五條の后順子ということになるのだが、順子は809年生まれだから業平より16歳も年上で考えにくい。同様に高子も業平より17歳も年下でこれも考えにくい。

「完訳日本の古典・伊勢物語」の福井貞助氏による系図を見ると、業平の子滋春の母親が染殿内侍となっている。これは冷泉家流古注によったようだが、染殿内侍は藤原良相の娘とされているものの良相の娘に該当するような女性はいない。

一方相手を染殿后明子と考えたらどうだろうか。明子が入内したのは道康親王の春宮時代とされているが正確な年次は明らかにされていない。
仁明天皇の皇太子は当初は恒貞親王だったが842年の承和の変恒貞親王廃太子となり、道康親王が皇太子に立てられた。この時道康親王は数え16歳、即位した850年には数え24歳。
即位直後に惟仁親王が生まれているから849年までには明子は入内していたのだろう。ただ明子入内の前に道康親王には既に藤原列子、紀静子という少なくとも二人の妻がいて文徳天皇即位とともに列子の子の晏子内親王が伊勢斎宮に慧子内親王が賀茂斎院に卜定されている。
明子の入内は842〜849年の間ということになるが、842年には明子はまだ数え14歳だし、844年に惟喬親王が生まれた時点ではまだ入内していなかったと思われるから849年に近いのだろう。
この入内待機中に業平が明子のもとに通っていたと考えたらどうだろう。たとえば847年なら業平は数え23歳、明子は数え19歳。明子は大変な美人だったと言われているし、年齢的にも不自然ではないし、道康親王には既に二人の妻がいて紀静子を寵愛していることを知っている明子には気の進まない思いもあっただろう。

そう考えた場合、後の明子の精神錯乱も説明しやすい。そして文徳天皇が惟仁親王廃太子にして惟喬親王を皇太子にしようとしたのは惟仁親王は実は業平の子ではないかという疑心暗鬼があったのではないか。
業平の官位の昇進が文徳天皇の8年間はストップしていて清和天皇になるとにわかに昇進し始めたのも清和天皇が業平の子であるならわかりやすい。
摂関家にとっては明子の産んだ子を天皇に据えれば良いわけで、その点業平と摂関家は利害を共有していたと言える。業平は決して不遇の貴公子などではなかったと思う。

伊勢物語96段の品詞分解

知恵袋に伊勢物語96段の品詞分解をしてくださいと書いている人がいるのだが、分量がかなりあるので知恵袋の回答欄に書くのは大変なので、こちらに書いてURLを貼っておこうかと思う。(知恵袋の回答欄だと一度に書かなければならないが、ここなら下書き保存したりして、時間のある時に書き継いで行けばいい)


基本は此島正年著「伊勢物語要解」(1955年、有精堂)だが、疑問点はそのつど注記する。


昔【名詞】男【名詞】あり【動詞、ラ変、連用】けり【助動詞、過去、終止】。

女【名詞】を【格助詞】とかく【副詞】いふ【動詞、ハ行四段、連体】こと【名詞】月日【名詞】へ【動詞、ハ行下二段、連用】に【助動詞、完了、連用】けり【助動詞、過去、終止】。

岩木【名詞】に【助動詞、断定、連用】し【間投助詞(※副助詞説もある)】あら【動詞、ラ変、未然】ね【助動詞、打消、已然】ば【接続助詞】心苦し【形容詞、シク活、終止】と【格助詞】や【係助詞】思ひ【動詞、ハ行四段、連用】けむ【助動詞、過去推量、連体】やうやう【副詞】あはれ【形容動詞、語幹】と【格助詞】思ひ【動詞、ハ行四段、連用】けり【助動詞、過去、終止】。

そ【代名詞】の【格助詞】頃【名詞】六月【名詞】の【格助詞】もち【名詞】ばかり【副助詞】なり【助動詞、断定、連用】けれ【助動詞、過去、已然】ば【接続助詞】女【名詞】身【名詞】に【格助詞】瘡【名詞】ひとつ【名詞】ふたつ【名詞】いで【動詞、ダ行下二段、連用】き【動詞、カ変、連用】たり【助動詞、完了、終止】。

女【名詞】いひ【動詞、ハ行四段、連用】おこせ【動詞、サ行下二段、連用】(※「伊勢物語総索引」は『いひおこせ』までで一語としている)ける【助動詞、過去、連体】今【名詞】は【係助詞】なに【代名詞】の【格助詞】心【名詞】も【係助詞】なし【形容詞、ク活、終止】。

身【名詞】に【格助詞】瘡【名詞】も【係助詞】ひとつ【名詞】ふたつ【名詞】いで【動詞、ダ行下二段、連用】き【動詞、カ変、連用】たり【助動詞、完了、終止】。

時【名詞】も【係助詞】いと【副詞】暑し【形容詞、ク活、終止】。

秋風【名詞】吹きたち【動詞、タ行四段、連用】な【助動詞、完了、未然】む【助動詞、推量、終止】時【名詞】かならず【副詞】逢は【動詞、ハ行四段、未然】む【助動詞、意志、終止】と【格助詞】いへ【動詞、ハ行四段、已然(※命令形説もある)】り【助動詞、完了、連用】けり【助動詞、過去、終止】。

秋【名詞】待つ【動詞、タ行四段、連体(※武田本は『たつ』)】ころほひ【名詞】に【格助詞】ここ【代名詞】かしこ【代名詞】より【格助詞】そ【代名詞】の【格助詞】人【名詞】の【格助詞】もと【名詞】へ【格助詞】去な【動詞、ナ変、未然】むず【助動詞、推量、終止】なり【助動詞、伝聞、終止】と【格助詞】て【接続助詞】くぜち【名詞】いで【動詞、下二段、連用】き【動詞、カ変、連用】に【助動詞、完了、連用】けり【助動詞、過去、終止】。

さり【動詞、ラ変、連用】けれ【助動詞、過去、已然】ば【接続助詞】女【名詞】の【格助詞】せうと【名詞】にはかに【形容動詞、ナリ活、連用】迎へ【動詞、ハ行下二段、連用(※「伊勢物語総索引」では名詞)】に【格助詞】来【動詞、カ変、連用】たり【助動詞、完了、終止】。

され【動詞、ラ変、已然】ば【接続助詞(※「伊勢物語総索引」では『されば』で接続詞)】こ【代名詞】の【格助詞】女【名詞】かへで【名詞】の【格助詞】初もみぢ【名詞】を【格助詞】拾は【動詞、ハ行四段、未然】せ【助動詞、使役、連用】て【接続助詞】歌【名詞】を【格助詞】よみ【動詞、マ行四段、連用】て【接続助詞】書きつけ【動詞、カ行下二段、連用】て【接続助詞】おこせ【動詞、サ行下二段、連用】たり【助動詞、完了、終止】。

秋【名詞】かけ【動詞、カ行下二段、連用】て【接続助詞】いひ【動詞、ハ行四段、連用】し【助動詞、過去、連体】ながら【副助詞(※接続助詞説もある)】も【係助詞】あら【動詞、ラ変、未然】な【助動詞、打消、未然】く【準体形(※「伊勢物語総索引」では接尾語)】に【終助詞(※接続助詞説もある)】木の葉【名詞】ふり【動詞、ラ行四段、連用】しく【動詞、カ行四段、連体(※「伊勢物語総索引」では『ふりしく』で一語としている)】え【名詞】に【助動詞、断定、連用(※格助詞説もある)(『えに』は縁に懸けた懸詞)】こそ【係助詞】あり【動詞、ラ変、連用】けれ【助動詞、詠嘆、終止】

と【格助詞】書きおき【動詞、カ行四段、連用】て【接続助詞】かしこ【代名詞】より【格助詞】人【名詞】おこせ【動詞、サ行下二段、未然】ば【接続助詞】これ【代名詞】を【格助詞】やれ【動詞、ラ行四段、命令】と【格助詞】て【接続助詞】去ぬ【動詞、ナ変、終止】。

さて【接続詞】やがて【副詞】後【名詞】つひに【副詞】けふ【名詞】まで【副助詞】知ら【動詞、ラ行四段、未然】ず【助動詞、打消、終止】。

よく【形容詞、ク活、連用】て【接続助詞】や【係助詞】あら【動詞、ラ変、未然】む【助動詞、推量、連体】あしく【形容詞、シク活、連用】て【接続助詞】や【係助詞】あら【動詞、ラ変、未然】む【助動詞、推量、連体】。

去に【動詞、ナ変、連用】し【助動詞、過去、連体】所【名詞】も【係助詞】知ら【動詞、ラ行四段、未然】ず【助動詞、打消、終止】。

か【代名詞】の【格助詞】男【名詞】は【係助詞】天の逆手【名詞】を【格助詞】打ち【動詞、タ行四段、連用】て【接続助詞】なむ【係助詞】のろひ【動詞、ハ行四段、連用】をる【動詞、ラ変、連体】なる【助動詞、伝聞、連体】。

むくつけき【形容詞、ク活、連体】こと【名詞】。

人【名詞】の【格助詞】のろひごと【名詞】は【係助詞】負ふ【動詞、ハ行四段、連体】もの【名詞】に【助動詞、断定、連用】や【係助詞】あら【動詞、ラ変、未然】む【助動詞、推量、連体】負は【動詞、ハ行四段、未然】ぬ【助動詞、打消、連体】もの【名詞】に【助動詞、断定、連用】や【係助詞】あら【動詞、ラ変、未然】む【助動詞、推量、連体】。

今【名詞】こそ【係助詞】は【係助詞】見【動詞、マ行上一段、未然】め【助動詞、意志、已然】と【格助詞】ぞ【係助詞】いふ【動詞、ハ行四段、終止】なる【助動詞、伝聞、連体】。

ヤフオクを覗いてみたけど……

ちょっとヤフオクを覗いて伊勢物語関係を探してみたけど、全体に高い(´ω`)
あれだったらAmazonや日本の古本屋で買った方がよほど安いよ。

大学時代の不快な記憶

たぶん1970年か71年のことだったと思うけど、今も許せないなと思う不快なことがあった。

私がいた大学の国文科は毎年6月頃の日曜日に年1回の学科大会というのを行っていた。
初めにその春の修士論文及び博士論文から優秀な論文が一つ選ばれて論文著者による発表が行われる。続いてその春の学部卒業論文から優秀な論文が一つ選ばれて同様に論文著者による発表が行われる。
その後司会者(この時は助手のTさん)による年間活動報告が行われ、最後に2~3人の来賓による講演が行われるというスケジュールだった。

この日は最初は溝口睦子さん(後に岩波新書「アマテラスの誕生」を著した)の発表で、記紀の神名を分類整理し由来を考察したもの。なかなか面白いと思った。
溝口さんが発表を終え質問を募るとこの日の来賓の一人だったY氏が「そんなのは思いつきに過ぎないと思うが」と言った。私は「それは感想であって質問になってないだろう」と思った。溝口さんも困惑しているようだった。
次にKさんが江戸時代の漢詩に関する発表を行うとまたもY氏が次から次と質問責めにしていたがほとんど内容の無い質問で、単に自分の知識をひけらかしているようにしか聞こえなかった。

そしてTさんが国文科の活動報告をしている最中だった。突然Tさんが「ただ今Y先生からこのようなメモが回ってまいりました」と言ってメモを掲げ「私は忙しいので議事進行を急ぎなさい」とメモを読み上げた。
呆れてしまった。つまらない質問を繰り返して議事進行を遅らせている当人が何を言ってるのかと思った。
皆の目がY氏に集中してY氏は照れくさそうにして黙っていた。
その後Y氏は講演を行って何事も無かったように帰って行った。

それから一週間ほどして突然Tさんの姿が研究室から消えた。系列の女子高等科の教諭になったと聞いた。
おそらくは、あの学科大会の後でY氏から教授会に対して「あの生意気な助手を何とかしろ」とクレームがあったのだろう。教授会はY氏には「処分しました」と報告でき、かつ無給の助手よりは生活が安定する女子高等科教諭に据えることでTさんの為にもなると判断して横滑りさせたのだろう。

あの後Tさんとは会っていないが、10年くらい前だろうか、ネットでTさんの名を検索したら女子高等科を定年退職したとかで女子生徒たちの退職を惜しむ声で埋まっていた。
結果的にはあれで良かったのかも知れないが、あの時の不快な思いは今も消えない。あの温厚なTさんがああいう行動に出たというのは相当に煮えくり返る思いがあったと思うから。

「鑑賞日本古典文学5伊勢物語・大和物語」が届いた

f:id:nobinyanmikeko:20170608134004j:plain「鑑賞日本古典文学 第5巻 伊勢物語・大和物語」(片桐洋一編、1975年初版1976年再版、角川書店、定価¥3,786)

Amazon……アジアンドッグ】表示…良い、本体¥1,000+送料¥257(コンビニ前払い)、注文6月5日到着6月8日(ゆうメール)

Amazonマーケットプレイスアジアンドッグに注文していた「鑑賞日本古典文学第5巻 伊勢物語・大和物語」が届いた。
アジアンドッグという書店らしからぬ妙な名の会社だが、東村山に事務所のある通販専門店で、Amazonだけでなく日本の古本屋のサイトにも登録がある。この本も日本の古本屋の目録にも載っていたが一般にはAmazonの方が送料が安いのでAmazonを通じて購入した。

表示「良い」だが、「非常に良い」相当か。函の四隅に軽いスレがあり、パラフィン紙カバーにやや汚れはあったものの気になるほどのレベルではなく、本体は新品同様と言って良い。

片桐洋一氏の伊勢物語関係書はいろいろあるけれども、研究書・解説書が主で翻訳は初めてになる。と言っても全訳では無く125段中の39段のみだが、片桐洋一氏による伊勢物語の翻訳は他に見当たらず、片桐氏の年齢も考えると今後出ることも無さそうだから貴重な本になる。
先月購入した校注本で気になっていた23段の『けこ』は校注本の「家子」から一般的な「笥子」に変更されるなど校注本から解釈を変えた所がいくつかある。
あとはやはり「伊勢物語の研究 研究篇・資料篇」は早く読みたいな。高価な本だからいつ買えるかわからないけど。

また1円本など10冊買った(^_^;)

4月末から5月初めに1円本など10冊を通販で買った。
注文した順に書くと以下の10冊。


f:id:nobinyanmikeko:20170509183658j:plain①「新訳絵入現代文伊勢物語」(吉井勇訳、竹久夢二絵、国書刊行会、2011年初版第一刷、定価¥2,000+税、1917年阿蘭陀書房刊「新訳絵入伊勢物語」を現代仮名遣に改めての覆刻再刊)
【日本の古本屋……西原書店(沖縄県浦添市)】本体¥1,000+送料¥300+郵便振替手数料¥130(後払い)、表示……並、カバー・帯付〈ゆうメール〉

注文日:4月27日⇒到着日:5月6日
今回注文した本では唯一「日本の古本屋」サイトを通じての注文で、注文から到着まで9日もかかったのはGWにかかったのと沖縄からという地理的ハンディキャップによるものか。
表示は並だったけど新品同様と表示しても良いのではと思うほどに綺麗な状態だった。
大正6年刊の本の覆刻版だけど全然古さを感じない。竹久夢二伊勢物語絵を「図説日本の古典5竹取物語伊勢物語」(片桐洋一他、1978年、集英社)で見てこの本の存在を知り〈この本は1977年にも思文閣から覆刻版が出ている〉欲しくなったのだけれど、夢二の絵も良いが吉井勇の訳が実に良い。大正デモクラシーの時代だからこれだけ自由な訳ができたのだろうか。


f:id:nobinyanmikeko:20170509192807j:plain②「書の日本史 第三巻・鎌倉/南北朝」(平凡社教育産業センター編、平凡社、1975年初版第一刷、定価¥3,800)
Amazon……もったいない本舗】本体¥667+送料257(コンビニ前払い)、表示……良い、函・カバー付〈ゆうメール〉

注文日:5月2日⇒到着日:5月6日
今回注文した本の中では一番の大型本で、Amazonに注文した9冊の中では一番高価。とは言え元が¥3,800の本だから¥667は安い。また「もったいない本舗」はカード式のミニカレンダーが同梱されて来るけど、これは半分に切ればニ枚の栞になるので具合が良い。
表示は「良い」だったけど「非常に良い」相当くらいか。函は全体にすこしヤケはあるが目立つ汚れや傷みは無く中の本は綺麗で全く問題無かった。
少し前に購入した「伝藤原藤房筆本伊勢物語」(吉田幸一編、1998年、古典文庫)の吉田幸一氏の解説の中に、藤原藤房の筆跡かどうかを確認するのにこの本の中の藤房の書状と見比べた旨が書かれていたので、これは是非この本を買って見比べてみたいと思った。見ると確かに同一人物の筆跡のようだ。ほかにも源頼朝源義仲源義経・文覚・西行北条時政九条兼実九条良経北条政子源実朝親鸞日蓮冷泉為相足利尊氏等々様々な人の書の写真があって興味深い。


f:id:nobinyanmikeko:20170509203303j:plain③「新装版日本古典文庫7 竹取物語伊勢物語落窪物語」(訳/川端康成中村真一郎和田芳恵、注釈/池田弥三郎、解説/中村真一郎河出書房新社、1988年新装版初版……旧版初版は1976年、定価¥1,600)
Amazon………花梨堂】本体¥100+送料257(コンビニ前払い)、表示……良い、カバー・帯付〈クロネコメール〉

注文日:5月2日⇒到着日:5月4日
他の9冊は6日にまとめて届いたけど、この本だけ4日に届いた。花梨堂の対応は早い。本当は花梨堂と同じ「良い」の表示で花梨堂より安い値段で出している所もあったのだが、そちらは本の状態についての具体的な記述が無く、花梨堂は丁寧に書いていたので花梨堂に注文した。本の状態も綺麗だったし花梨堂を選んで正解だったと思う。
原文無しの訳・注釈・解説というスタイルだが、池田弥三郎の注釈が分量は少ないものの、なかなか読ませる内容で面白い。


f:id:nobinyanmikeko:20170509210203j:plain④「集英社文庫 竹取物語伊勢物語」(訳/田辺聖子集英社、1987年第一刷……1982年学研刊の単行本の文庫化、定価¥360)
Amazon……共立書院】本体¥1+送料¥257(コンビニ前払い)、表示……良い、カバー・帯付〈ゆうメール〉

注文日:5月2日⇒到着日:5月6日
表示は「良い」だったけど「非常に良い」でも良いくらいに綺麗。帯にやや色褪せがあるものの本体・カバーは新品同様だった。
田辺聖子の訳は地の文にはあまり特徴が無いが、歌の訳が良い。学者の訳ではなかなか出せない味を出している。
竹取物語は全訳だが、伊勢物語は抄訳なのがやや残念。


f:id:nobinyanmikeko:20170509214405j:plain⑤「日本古典全書 竹取物語伊勢物語」(南波浩校註、朝日新聞社、1960年初版1973年第九刷、定価¥640)
Amazon……もったいない本舗】本体¥1+送料257(コンビニ前払い)、表示……良い、カバー・月報付〈ゆうメール〉

注文日:5月2本⇒到着日:5月6日
この本は少し前に同じ「もったいない本舗」でやはり¥1で買ったのだけど、内容が良い本だけに、いずれもう少し程度の良い本があればもう一冊買おうと思っていた。ところがまた「もったいない本舗」から出品があって、値段は前回と同じ¥1だけど表示は前回が「可」だったのに今回は「良い」、前回買った本が五刷だったのに今回は九刷で、¥1だし今ある本より状態が良さそうだから買ってみようかと思って注文した。届いた本を見て、これは注文して正解だったと思った。カバーの背にヤケと小さな破れがあるものの他は問題なく、月報も付いている。程度の良い本は¥1,000くらいは出さなきゃ無理かなと思ってたのでこれは嬉しい誤算だった。(画像右が今回購入した本)


f:id:nobinyanmikeko:20170510065129j:plain⑥「現代語訳 竹取物語伊勢物語」(吉岡曠訳、學燈社、2005年初版……1982年刊の文庫本の単行本化、定価¥1,600+税)
Amazon……j-book】本体¥65+送料¥257(コンビニ前払い)、表示……非常に良い、カバー付〈ゆうメール〉

注文日:5月2日⇒到着日:5月6日
表示は「非常に良い」で表示通りか。この本は初め文庫版が出て後から単行本化されている。普通とは逆なところが面白い。
内容は原文・訳・簡単な注釈・簡単な解説付き。竹取物語伊勢物語が入っているが竹取物語重視という感じで、巻末に竹取物語の校訂一覧・今昔物語の竹取説話・中国の「斑竹姑娘」との比較が載っているが、伊勢物語は登場人物の系図が二枚あるだけで物足りない。
伊勢物語の歌番号は初段の「みちのくの忍もぢずりたれゆゑに」と87段の「あしのやのなだのしほ焼きいとまなみ」を除外していて、片桐洋一氏の考えに従ったようだ。講談社学術文庫伊勢物語を書いた阿部俊子氏は学習院大学の非常勤講師を務めていた時期があったのでその頃助教授だった吉岡曠氏とは同僚だった訳だけど阿部俊子氏の歌番号ではなく片桐洋一氏の歌番号に従っているのが興味深い。解説でも片桐洋一氏の三段階成立説を概ね肯定している。
装幀は綺麗だし読みやすさを重視した感じの本だけど内容としては類書が数多くある中でアピールするものに乏しいか。


f:id:nobinyanmikeko:20170510161218j:plain⑦「伊勢物語 附現代語譯」(中河與一譯註、角川文庫、1953年初版1964年17版、定価¥100)
Amazon……ブックアイランド】本体¥1+送料¥257(コンビニ前払い)、表示……良い、カバー無し・帯付〈クロネコメール〉

注文日:5月2日⇒到着日:5月6日
表示「良い」で表示通りか。カバーは無いが帯付きで帯は綺麗な状態。軽いヤケはあるが目立つ汚れや書込みは無い。53年経った本としては良い状態だろう。
1953年初版なので戦後に書かれた本なのに歴史的仮名遣繁体字で捨て仮名無しとまるで戦前の本のよう。
現在は大半の伊勢物語関係本が天福本・武田本等の定家本を底本としているのに対してこの本は江戸時代の藤井高尚の「伊勢物語新釋」を底本とした原文・校注・訳・解説付き。単なる作家が訳した古典ではなくて拘りを持った本という印象。作家が担当した古典ではあるが訳よりもむしろ校注が面白い。


f:id:nobinyanmikeko:20170511140639j:plain⑧「竹取物語伊勢物語堤中納言物語」(訳/臼井吉見・中谷孝雄、解説/森まゆみちくま文庫、1992年初版第一刷……1960年刊古典日本文学全集7の文庫化)
Amazon……グリーントマト堂】本体¥1+送料¥257(コンビニ前払い)、表示……良い、カバー・帯付〈ゆうメール〉

注文日:5月2日⇒到着日:5月6日
表示「良い」だけど「非常に良い」相当か。カバーに若干スレがあるが、本体や帯は新品同様で栞まで付いてた。
カバーの絵がちょっと意表を突く。えっ平安王朝物語にこの絵なの?という感じ。
内容は原文無し・訳・簡単な注釈・簡単な解説付き。原文が無い代りに物語が三つ入っている。
伊勢物語の場合、訳は堅実だがこれといってアピールするものが無く、注は内容がやや古い。
ただ堤中納言物語が入っているのは魅力。


f:id:nobinyanmikeko:20170511195739j:plain⑨「新装版校注古典叢書 伊勢物語」(片桐洋一校注、明治書院、1971年初版2012年新装版8版、定価¥2,000)
Amazon……エコマケ】本体¥176+送料¥257(コンビニ前払い)、表示……良い〈クロネコメール〉

注文日:5月2日⇒到着日:5月6日
表示「良い」だが、これは微妙。本そのものはまだ新しく綺麗な状態なのだが書込みの量が半端ではない。大半はシャープペンによるものだが一部マーカーも使われていて、この状態だと「可」相当か。
片桐洋一氏の伊勢物語関係の本は多数出ているけど校注本は以外に少ない。1971年に出たこの本のあと昨年「新校注伊勢物語」が和泉書院から出ているのでいずれ「新校注」も購入して比較してみたいけど、「新校注」の著者が片桐洋一・田中まきとなっているのが気になる。こういう場合実際に書いてるのは若くて無名の研究者で著名な研究者が共同執筆者として名義貸ししているケースが多いからだ。もしそうだとすれば本当の片桐洋一氏による校注本はこの本だけという事になる。
さすがにというか従来の校注には無かった新しい解釈が随所に見られて校注を読むだけでも面白い。巻末解説も力のこもったもの。


f:id:nobinyanmikeko:20170511222250j:plain⑩「現代語譯日本古典文學全集 竹取物語伊勢物語落窪物語」(譯・解説/三谷榮一・大津有一・所弘、河出書房、1954年初版、定価不明)
Amazon……もったいない本舗】本体¥1+送料¥257(コンビニ前払い)、表示……良い、函付〈ゆうメール〉

注文日:5月3日⇒到着日:5月6日
この表示の「良い」は無いだろう。一応函は付いているけど函もかなりくたびれた感じ。カバーは元々無かったのかも知れないが本体もかなりくたびれていて金文字は辛うじて読めるという程度。しかも底にインクを零した痕がある。「可」の中でも下の方ではないかと思う。
もったいない本舗はこれまで表示より状態が良かったことはあってもこんなことは無かったので残念。
まあ¥1の本だし63年も前の本だからこんなものなのかも知れないが。
少し前に購入した「日本古典鑑賞講座第五巻 竹取物語伊勢物語」(1958年初版1973年14刷、角川書店)での大津有一氏の訳がなかなか個性的で印象に残ったのだけれど全段ではなく抄訳だったので全段訳したものが読みたいと思ってこの本を購入した。
驚いたことに角川版とは訳文が同じでは無い。色々試行錯誤していたのだろうね。大津訳が成功しているとまでは思わないが方向性としては間違っていないように思う。