つらつら思うこと

特にテーマは決めずに書きます

大学時代の不快な記憶

たぶん1970年か71年のことだったと思うけど、今も許せないなと思う不快なことがあった。

私がいた大学の国文科は毎年6月頃の日曜日に年1回の学科大会というのを行っていた。
初めにその春の修士論文及び博士論文から優秀な論文が一つ選ばれて論文著者による発表が行われる。続いてその春の学部卒業論文から優秀な論文が一つ選ばれて同様に論文著者による発表が行われる。
その後司会者(この時は助手のTさん)による年間活動報告が行われ、最後に2~3人の来賓による講演が行われるというスケジュールだった。

この日は最初は溝口睦子さん(後に岩波新書「アマテラスの誕生」を著した)の発表で、記紀の神名を分類整理し由来を考察したもの。なかなか面白いと思った。
溝口さんが発表を終え質問を募るとY氏が「そんなのは思いつきに過ぎないと思うが」と言った。私は「それは感想であって質問になってないだろう」と思った。溝口さんも困惑しているようだった。
次にKさんが江戸時代の漢詩に関する発表を行うとまたもY氏が次から次と質問責めにしていたがほとんど内容の無い質問で、単に自分の知識をひけらかしているようにしか聞こえなかった。

そしてTさんが国文科の活動報告をしている最中だった。突然Tさんが「ただ今Y先生からこのようなメモが回ってまいりました」と言ってメモを掲げ「私は忙しいので議事進行を急ぎなさい」とメモを読み上げた。
呆れてしまった。つまらない質問を繰り返して議事進行を遅らせている当人が何を言ってるのかと思った。
皆の目がY氏に集中してY氏は照れくさそうにして黙っていた。
その後Y氏は講演を行って何事も無かったように帰って行った。

それから一週間ほどして突然Tさんの姿が研究室から消えた。系列の女子高等科の教諭になったと聞いた。
おそらくは、あの学科大会の後でY氏から教授会に対して「あの生意気な助手を何とかしろ」とクレームがあったのだろう。教授会はY氏には「処分しました」と報告でき、かつ無給の助手よりは生活が安定する女子高等科教諭に据えることでTさんの為にもなると判断して横滑りさせたのだろう。

あの後Tさんとは会っていないが、10年くらい前だろうか、ネットでTさんの名を検索したら女子高等科を定年退職したとかで女子生徒たちの退職を惜しむ声で埋まっていた。
結果的にはあれで良かったのかも知れないが、あの時の不快な思いは今も消えない。あの温厚なTさんがああいう行動に出たというのは相当に煮えくり返る思いがあったと思うから。