つらつら思うこと

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堺本枕草子

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ヤフオクで落札した堺本枕草子が届いた。

「全解枕草子」等によれば枕草子の伝本は①能因本系②三巻本系③前田家本④堺本系の四つに分類され、①②が雑纂形態、③④が類纂形態であるとされる。

枕草子の校注本・訳本は②の三巻本系及び①の能因本系を底本とするものが多く以下のような状態。

②三巻本系を底本とするもの
 ✦田中重太郎「日本古典全書/枕冊子」(1947年、朝日新聞社
 ✦池田亀鑑「全講枕草子」(1956年、至文堂)
 ✦三谷栄一・伴久美「全解枕草子」(1958年、有精堂)
 ✦池田亀鑑・岸上慎二「日本古典文学大系枕草子」(1958年、岩波書店
 ✦岸上慎二「校訂三巻本枕草子」(1961年、武蔵野書院)
 ✦石田穣二「角川ソフィア文庫/新版枕草子」(1979年、角川学芸出版
 ✦萩谷朴「新潮日本古典集成/枕草子」(1977年、新潮社)
 ✦渡辺実新日本古典文学大系枕草子」(1991年、岩波書店

①能因本系を底本とするもの
 ✦吉澤義則「校註枕草子」(1950年、河原書店)
 ✦五十嵐力・岡一男「枕草子精講」(1954年、學燈社
 ✦田中重太郎「枕冊子全注釈」(1972年、角川書店
 ✦松尾聰・永井和子「日本古典文学全集/枕草子」(1974年、小学館
 ✦川瀬一馬講談社文庫/枕草子」(1987年、講談社
 ✦松尾聰「笠間文庫/枕草子能因本」(2008年、笠間書店)

③前田家本を底本とするもの
 ✦田中重太郎「古典文庫/前田家本枕草子新註」(1951年、古典文庫)

④堺本系を底本とするもの
 ✦速水博司「堺本枕草子評訳」(1990年、有朋堂)


現在は三巻本が原著に近く、類纂本は後世の再編集本とする説が通説化しているがネットのこの記事(http://www.geocities.jp/hgonzaemon/makurasakai.html)のように、原著自体が草稿本など複数あって、堺本は草稿本に由来する本であるとの考え方もある。
次に今回購入した堺本系班山文庫本の初段の翻刻を示すが、明らかに三巻本の文より長く、記述が詳細なので、類纂形態とも併せて考えるとむしろ三巻本の方が草稿本に由来し、堺本は増補改訂稿と考える方が合理的ではないかと思う。


堺本系班山文庫本枕草子第一段
★春はあけほのゝ空はいたくかすみたるにやう\/白くなり行山のはのすこしつゝあかみてむらさきたちたる雲のほそくたなひきたるもいとをかし
夏はよる月の比はさらなりねやもなを蛍おほく飛ちかひたる又たゝひとつふたつなとほのかにうちひかりて行もいとをかし雨ののとやかにふりそへたるさへこそをかしけれ
秋は夕暮ゆふ日のきはやかにさして山のはちかくなりたるに烏のねにゆく三つ四つふたつみつなと飛行もあはれなりまして鴈のおほく飛つれたるいとちいさくみゆるはいとをかし日入はてゝのち風のをと虫の聲なとはいふへきにもあらすめてたし
冬はつとめて雪の降たるにはさらにもいはす霜のいと白きも又さらねといとさむきに火なといそきおこしてすみもてありきなとするみるもいとつきつきしひるになりぬれのやう\/ぬるくゆるいりていにて雪も消すひつ火おけの火もしろきはいかちになりぬれはわろし