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佐藤定義編「詳解古語辞典」について

少し前にヤフオクで佐藤定義編「新訂詳解古語辞典」(1972年11月初版1982年10月新訂版、明治書院)を購入した。

率直に言って、こういう古語辞典があること自体最近まで知らなかった。編纂者の佐藤定義という人についてもWikipediaコトバンクはてなキーワードのいずれも書かれておらず、何の情報も無いし、ただ単に安かったから購入したというだけのことだった。

最初に見た時は一般の中判古語辞典(ほぼB6判)よりも一回り小さいA6判サイズ(縦がA6よりやや長い)で頁数も本編534頁と一般の中判古語辞典の半分以下だし、頼りない印象を受けた。

ところが中を読んでみて驚いた。源融の「みちのくの忍もぢずり誰ゆへにみだれそめにし我ならなくに」の最後の『に』をこの辞書ははっきり間投助詞と書いている。接続の点で多くの参考書にある接続助詞説や終助詞説には疑問を持っていたので、これを見てすっきりした。
収録語彙数こそ1万3千と少なめだけれども語釈は丁寧でしっかりしているのですっかり気に入って、さらにヤフオクで初版と最新版(1991年10月)も購入して比べてみた。

本編の頁数
 初版……489頁
 新訂版……534頁
 最新版……688頁

ただ最新版は活字がやや大きくなり(1行26字⇨22字)行間が広くなり(1段35行⇨33行)、新たに20のコラムと28の同形異種語識別表を加えているので、語彙の増補は見た目ほどでは無いようだ。

凡例は実は初版が一番詳しくて主要出典一覧表だけで11頁もある。新訂版では何故か一遍に2頁に減らされている。

別冊付録は新訂版には「助動詞(34種)の総合整理」なるイラスト入り一覧表と「古文学習の手引」という小冊子が付いていたが、初版には別冊付録が無く、最新版は助動詞の一覧表だけが付いていた。
ただ、新訂版は函付きだったのに対して初版と最新版は函無しで出品されていたので、初めから付録が無かったのか紛失したのかは判らない。

巻末の百人一首は初版・新訂版は通釈・語釈が載っているが最新版では語釈が省略されて通釈のみになり、その代りに「主要古典の読解」が加えられている。

こうしてみると、単に初版⇨新訂版⇨最新版とどんどん増補されたという訳ではなくて削られたものもあり、三冊揃えてもそれぞれに存在意義があるようだ。