つらつら思うこと

特にテーマは決めずに書きます

『あた』か『あだ』か①

『~くば』か『~くは』かを調べているうちに、119段の「かたみとて今はあたなれこれなくはわするゝ時もあらましものを」の『あた』をそのまま『あた』と読んでいる本と『あだ』と読んでいる本とがあることに気づいた。

そこでまた調べてみた。(全段を収めているものを対象とする)

①[17段]あたなりとなにこそたてれ櫻花
②[21段]年月をあたにちきりて我やすまひし
③[31段]なにのあたにか思けん
④[47段]このおとこをあたなりときゝて
⑤[50段]あたくらへかたみにしけるおとこ女の
⑥[61段]あたにそあるへきたはれしま
⑦[103段]あたなる心なかりけり
⑧[109段]花よりも人こそあたになりにけれ
⑨[119段]あたなるおとこのかたみとて
⑩[119段]かたみこそ今はあたなれ

この10箇所がどう読まれているかをみてみた。

【全て『あた』と読む】
伊勢物語に就きての研究・索引篇(伴久美編、
1961年12月)

【③・⑥・⑩が『あた』、他は全て『あだ』と読む】
★文法設問伊勢物語の解釈と鑑賞(伴久美著、1958年5月)

【③・⑩が『あた』、他は全て『あだ』と読む】
★標註伊勢物語新釋(藤井高尚著、大久保初雄標註、1894年7月)
伊勢物語精講(池田亀鑑著、1955年4月)
★日本古典全書/伊勢物語(南波浩校註、1960年7月)
★校注古典叢書/伊勢物語(片桐洋一校注、1971年3月)
伊勢物語新解(中田武司・狩野尾義衛著、1971年5月)
★日本古典文学全集8/伊勢物語(福井貞助校注・訳、1972年12月)
講談社学術文庫伊勢物語阿部俊子訳注、1979年9月)
★角川文庫/新版伊勢物語石田穣二訳注、1979年11月)
★現代語訳学燈文庫/伊勢物語(吉岡曠訳、1982年12月)
★完訳日本の古典10/伊勢物語(福井貞助校注・訳、1983年2月)
★有精堂校注叢書/伊勢物語(中田武司校注、1986年9月)
★定本伊勢物語(小澤彰著、1992年1月)
★新編日本古典文学全集12/伊勢物語(福井貞助校注・訳、1994年12月)

【③のみ『あた』、他は全て『あだ』と読む】
古典文庫64/伊勢物語〈天福本・谷森本〉(鈴木知太郎校、1952年11月)
日本古典文学大系9/伊勢物語(大津有一・築島裕校注、1957年10月)
伊勢物語付業平集(鈴木知太郎・田中宗作編、1960年4月)
岩波文庫伊勢物語(大津有一校注、1964年12月)
★精釈シリーズ19/文法詳解伊勢物語精釈(三ツ木徳彦著、1965年5月)
伊勢物語影印付(山田清市編著、1967年4月)
伊勢物語評解(上坂信男著、1969年1月)
★校註伊勢物語(鈴木知太郎著、1971年4月)
伊勢物語総索引(大野晋・辛島稔子編、1972年5月)
講談社文庫/伊勢物語(森野宗明校注、1972年8月)
伊勢物語全釈(森本茂著、1973年7月)
★新潮日本古典集成/伊勢物語渡辺実校注、1976年7月)
★創英社対訳日本古典新書/伊勢物語(永井和子訳注、1978年4月)
古典文庫397/伊勢物語〈鉄心斎文庫本〉(山田清市編、1979年10月)
★異本対照伊勢物語(片桐洋一編、1981年1月)
伊勢物語全釈(中野幸一・春田裕之著、1983年7月)
★旺文社対訳古典シリーズ/伊勢物語(中野幸一訳注、1990年6月)
新日本古典文学大系17/伊勢物語秋山虔校注、1997年1月)
★新編伊勢物語(神野藤昭夫・関根賢司編、1999年1月編)
★原文&現代語訳シリーズ笠間文庫/伊勢物語(永井和子訳注、2008年3月)

【⑩のみ『あた』、他は全て『あだ』と読む】
★文法詳解伊勢物語精解(長瀬治著、1958年4月)

【全て『あだ』と読む】
★新註伊勢物語(松尾聰編、1952年5月)
★角川文庫/伊勢物語(中河與一譯註、1953年7月)
★校註伊勢物語(松尾聰・永井和子著、1968年4月)



こうして見ると、若干の例外はあるものの、⑩の例を『あた』と読むか『あだ』と読むかで大きく見解が分かれていることに気づく。
そこでさらに全段を収めていない本でも119段を収めている本の読みも加えて、一覧にしてみた。

【『あた』と読む】
★標註伊勢物語新釋(藤井高尚著、大久保初雄標註、1894年7月)
伊勢物語精講(池田亀鑑著、1955年4月)
★文法と解釈シリーズ/伊勢物語の文法と解釈(橘誠著、1957年11月)
★文法詳解伊勢物語精解(長瀬治著、1958年4月)
★文法設問伊勢物語の解釈と鑑賞(伴久美著、1958年5月)
★古典日本文学全集7/伊勢物語(中谷孝雄訳、1960年7月)
★日本古典全書/伊勢物語(南波浩校註、1960年7月)
伊勢物語に就きての研究・索引篇(伴久美編、
1961年12月)
★校注古典叢書/伊勢物語(片桐洋一校注、1971年3月)
伊勢物語新解(中田武司・狩野尾義衛著、1971年5月)
★日本古典文学全集8/伊勢物語(福井貞助校注・訳、1972年12月)
講談社学術文庫伊勢物語阿部俊子訳注、1979年9月)
★角川文庫/新版伊勢物語石田穣二訳注、1979年11月)
★現代語訳学燈文庫/伊勢物語(吉岡曠訳、1982年12月)
★完訳日本の古典10/伊勢物語(福井貞助校注・訳、1983年2月)
★有精堂校注叢書/伊勢物語(中田武司校注、1986年9月)
★定本伊勢物語(小澤彰著、1992年1月)
★新編日本古典文学全集12/伊勢物語(福井貞助校注・訳、1994年12月)
角川ソフィア文庫/ビギナーズ・クラシックス伊勢物語(坂口由美子編、2007年12月)

【『あだ』と読む】
★新編伊勢物語選(武田祐吉編、1952年3月)
★新註伊勢物語(松尾聰編、1952年5月)
古典文庫64/伊勢物語〈天福本・谷森本〉(鈴木知太郎校、1952年11月)
★角川文庫/伊勢物語(中河與一譯註、1953年7月)
★現代語譯日本古典文學全集/伊勢物語(大津有一譯、1954年3月)
★日本国民文学全集5/伊勢物語(中河與一訳、1956年6月)
日本古典文学大系9/伊勢物語(大津有一・築島裕校注、1957年10月)
伊勢物語付業平集(鈴木知太郎・田中宗作編、1960年4月)
岩波文庫伊勢物語(大津有一校注、1964年12月)
★精釈シリーズ19/文法詳解伊勢物語精釈(三ツ木徳彦著、1965年5月)
伊勢物語影印付(山田清市編著、1967年4月)
★校註伊勢物語(松尾聰・永井和子著、1968年4月)
★日本文学全集2−2/伊勢物語中村真一郎訳、1968年10月)
伊勢物語評解(上坂信男著、1969年1月)
★校註伊勢物語(鈴木知太郎著、1971年4月)
伊勢物語総索引(大野晋・辛島稔子編、1972年5月)
講談社文庫/伊勢物語(森野宗明校注、1972年8月)
伊勢物語全釈(森本茂著、1973年7月)
★新潮日本古典集成/伊勢物語渡辺実校注、1976年7月)
★創英社対訳日本古典新書/伊勢物語(永井和子訳注、1978年4月)
古典文庫397/伊勢物語〈鉄心斎文庫本〉(山田清市編、1979年10月)
★異本対照伊勢物語(片桐洋一編、1981年1月)
伊勢物語全釈(中野幸一・春田裕之著、1983年7月)
★わたしの古典3/大庭みな子の伊勢物語(大庭みな子著、1986年5月)
★旺文社対訳古典シリーズ/伊勢物語(中野幸一訳注、1990年6月)
新日本古典文学大系17/伊勢物語秋山虔校注、1997年1月)
★和泉選書115/狩使本伊勢物語〜復元と研究(林美朗著、1998年9月)
★新編伊勢物語(神野藤昭夫・関根賢司編、1999年1月編)
★原文&現代語訳シリーズ笠間文庫/伊勢物語(永井和子訳注、2008年3月)



⇒『あた』か『あだ』か②
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