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古語辞典比較〜神(かみ kamï )⑥国語辞典

言海大槻文彦編、1889年5月、六合館)

かみ(名)[神]〔上〈カミ〉ノ義カ、或云、赫身〈カガミ〉ノ約カト〕
㈠形ナク、靈〈タマ〉アリ、無上自在ノ通アリテ、或ハ世ニ禍福ヲモナシ、又、人ノ善惡ノ行ニ、加護冥罰ヲモナスモノ。
㈡往代ノ帝王、聖賢、英雄、等ノ死後ノ魂ヲ祀レルモノ。
㈢スベテ、人ノ智ニテハ測リ知ラレザル事。
「━━ノ如シ」「━━事(ゴト)」
㈣ナルカミ。イカヅチ。雷。



❂大辭典(上田萬年・新村出橋本進吉松井簡治・吉澤義則他編纂、1935年8月、平凡社

カミ 神 
語原に諸説あり。加牟加美〈かむがみ〉・鑑・照覽の略(忌部正通)。鏡〈かがみ〉の略(契沖・山崎闇齋・度會延佳・吉川惟足等)。明見〈あかみ〉の略(谷川士清)。上〈かみ〉の義。(新井白石・貝原益軒・賀茂眞淵・伊勢貞丈・小山田與淸・藤原時繩・谷重遠・チェンバレン・アストン等)。
❶我國開闢より神武天皇以前までの代に存在した方々の稱。
記・上「天地初發之時、於高天原成神名、天之御中主神……高御産巢日神、次神産巢日神、此三柱神氏者、竝獨神成坐而、隱身也」
神代紀・上「天先成而地後定、然後神聖〈かみ〉生其中焉」
同「天地混成之時、始有神人〈かみ〉焉、號可美葦牙美彦舅尊」
❷天象・地儀・鳥獣・草木等人に驚異の感を懐かせる物を畏敬していふ語。
欽明紀・前紀「臣向伊勢、商價來還、山逢二狼相闘汚血、乃下馬洗漱口手、祈請曰、汝是貴神〈かしこきかみ〉、而樂麁行〈このむあらわざ〉、儻〈もし〉逢獵士、見禽尤速、乃抑止相闘、拭洗血毛、遂遣放之、倶令全命」
出雲風土記・楯縫郡「神名樋〈かんなび〉山、郡家東北六里一百六十歩……嵬西〈だけのにし〉有石神、高一丈、周一丈許、側有小石神百餘許」
萬葉三「こちごちの國のみ中ゆ、出で立てる、不盡の高嶺は……言ひもかね、名づけも知らに、靈しくも、坐す神かも」
❸人間以上の威力を備へた靈的實在。
欽明紀・二年七月「精誠通靈〈かみ〉」
萬葉二〇「天地のいづれの可美を祈らばか、愛〈うつく〉し母にまた言問はむ 大伴部麻與佐」
同「ちはやぶる賀美〈かみ〉の御坂に幣奉り齋ふいのちは父母がため 神人部子忍男」
源氏・須磨「うき世をば今ぞ別るるとどまらむ名をばただすの神にまかせて」
新拾遺・戀四「岩橋の絶えにし中を葛城の神ならぬ身はなほも待つかな 源和義」
天皇。現人神の意より直ちに神とのみ申す。
記・下「呉床坐〈あぐらゐ〉の、加微〈かみ〉の御手もち、彈く琴に舞する女、常世にもがも 雄略天皇
萬葉・二「梓弓……天皇の、神の御子の、御駕〈いでまし〉の、手火の光ぞ、幾許〈ここだ〉照りたる」
同・三「皇神祖〈すめろぎ〉の、神の命の、敷きます、國のことごと、湯はしも、多にあれども
山部赤人
❺人の死後、神社に祀られた靈。
廿二社本縁・北野社[平安]「此神和大宰府乃天滿宮仁天坐寸、彼額仁天滿宮安樂寺都阿里」
❻基督教に於て、宇宙を創造し支配すると考へる全智・全能の唯一主宰者。ヘブル民族に在っては神は特に人類に對して人格的倫理的交渉を保ち、世界及び歴史の創造者として考へられたが、この場合、特にかかる超越的事實をその選民たる同民族に啓示せる神としてこれをヤーヴェ Jahweh と呼んだ。この観念は更に精練して基督教に繼承され、茲では特に人類の救世主たるイエス・キリストの父と呼ばれている。
人智にて測り知ることの出來ぬ物事。かみごと。
❽なるかみの略。いかづち。かみなり。
記・中「道の後〈しり〉、古波陀孃子〈をとめ〉を、迦微〈かみ〉のごと、聞えしかども、相枕まく 大鷦鷯尊」
萬葉一一「天雲の八重雲がくり鳴る神の音のみにやも聞き渡りなむ」
同一二「神のごと聞ゆる瀧の白浪の面知る君が見えぬ此の頃」
大鏡・時平傅「北野のかみにならせ給ひて、いとおそろしくかみなりひらめき清涼殿におちかかりぬと見えけるに」



広辞苑/初版(新村出編、1955年5月、岩波書店

かみ【神】
①宗教的信仰の対象。人間を超越した威力者。冥々の間に存在して、不可思議の能力を有し、人類に禍福を降すと思惟せられる霊。即ち宗教上帰依し畏怖せられる対象。
キリスト教において、全知全能で宇宙を創造し支配する唯一絶対の主宰者。上帝。天帝。
神武天皇の建国以前の我国土の統治者たち。
④歴代の天皇の尊称。
⑤神社に奉祀される霊。
⑥神に召されて葬られた者の霊魂。
⑦人知を以てはかることのできぬもの。
⑧恐るべき者。
⑨なるかみ。雷鳴。



❂国語大辞典(尚学図書編、1981年12月、小学館

かみ【神】
①宗教的・民俗的信仰の対象。世に禍福を降し、人に加護や罰を与える霊威。古代人が、天地万物に宿り、それを支配していると考えた存在。自然物や自然現象に神秘的な力を認めて畏怖(いふ)し、信仰の対象にしたもの。
万葉‐3682「天地(あめつち)の可未(カミ)を祈(こ)ひつつ我待たむ」
②神話上の人格神。
古事記‐上「高天(たかま)の原に成りませる神の名は」
天皇、または天皇の祖先。
万葉‐235「大君は神にしませば」
④死後に神社なとにまつられた霊。また、その霊のまつられた所。神社。
枕-287「神は松の尾」
キリスト教で、宇宙と人間の造主であり、すべての生命と知恵と力との源である絶対者。
⑥雷。なるかみ。いかずち。
枕-99「神いとおそろしう鳴りたれば」
⑦人為を越えて、人間に危害を及ぼす恐ろしいもの。特に蛇や猛獣。
万葉-3885「虎といふ神を」
⑧他人の費用で妓楼に上り遊興する者。とりまき。転じて、素人の太鼓持。江戸がみ。



新明解国語辞典/第四版(山田忠雄編集主幹、1990年、三省堂

かみ【神】
㈠絶対的な超能力を持ち、自然界・人間界を左右するものと考えられた創造主。〔人間の形を取るが、多く、在天の存在とされ、配下に万般の事象を分掌する「神㈡」を従え、共に信仰の対象となる〕
「━━のみぞ知る・━━に祈るような気持・━━も仏も無いのか?」
㈡その国の神話で活躍し、今に語り継がれる存在。〔わが国では、特定の物故者の霊と共に神社に祭られる〕
「愛・(美・酒)の━━:学問の━━・勝利の女━━」
[かぞえ方]一柱(ヒトハシラ)



❂新世紀ビジュアル大辞典(金田一春彦石毛直道村井純監修、北宗平編集、1998年11月、学習研究社

かみ【神】
①宗教的な崇拝または信仰の対象となるもの。超人的な能力をもち、人類に禍福を与えると考えられているもの。god
②日本神話・神道(しんとう)の語。
神武天皇以前の日本に存在したとされる人たち。
㋑神社に祭られた霊。
靖国(やすくに)の━━となる」
③現人神(あらひとがみ)。
④〔仏〕仏に正法(しょうぼう)護持を誓った善天。善神。
キリスト教で、全知全能で宇宙を創造、支配するする唯一の絶対者。天帝。上帝。ゴッド(God)。
ユダヤ教ヤハウェ
⑦人知をもってはかり知ることのできないもの。
⑧恐るべきもの。
⑨鳴神(なるかみ)。雷鳴。