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資料……猫関係㉓ 日本猫とジャパニズボブテイル

【これは以前にはてなハイクに書いたもののコピーです】



キャットライフ1983年10月号

ドメスティックキャット②
日本猫とジャパニズボブテイル
鈴木金治 FCC審査部副部長

 最近短尾の日本猫を「ジャパニズボブテール」と呼ぶ人が増えている。これは重大な誤りで、私達日本猫愛好者は誠に不満に感ずることである。日本猫愛好者はこの誤りを自らの手で一日も早くなおしてゆかなくてはならないだろう。

ジャパニズボブテールとは

 この愛らしい名前の猫は一部アメリカの愛猫家が日本に来た際、短尾の日本猫を見て大変めずらしがり、その愛らしさに目をつけた。フロンティアスピリット旺盛なアメリカ人のこと、すぐアメリカに何頭かの日本猫を持ち帰り、その固定化をこころみた。
 この短尾の日本猫にアメリカンショートヘアやその他の猫を混合し、計画的な繁殖を重ね、アメリカ最大の団体CFAの公認猫としたのだ。その努力は大変素晴らしく、称賛に価する。しかしここで忘れてはいけないのは、この公認猫ジャパニズボブテールはあくまでアメリカ人によって、アメリカで公認された猫種であり、本来の短尾の日本猫とはその顔型も体型も異なることである。
 また公認猫としたアメリカの愛猫団体にしても、真の日本猫を正しく理解しているはずもない。そして私達日本猫愛好者にとって最もなげかわしいことは、日本の一部愛猫家は短尾の日本猫を見ればジャパニズボブテールだと指導し、登録までもすすめてしまう。またそれを聞いたその猫の所有者は驚きとともに喜び、アメリカ国籍の猫として登録をしてしまう。登録された日本猫はさぞかし目をキョトンとさせていることだろう。
 このことは日本猫とその愛好者はもちろんのことアメリカの公認猫ジャパニズボブテールの作出に人知れぬ努力をした人達にとっても明らかに歓迎されざることではないだろうか。

ジャパニズボブテールと日本猫の違い

 ジャパニズボブテールの姿、顔はオリエンタルタイプそのものである。一方日本猫の体型的特徴はコビイタイプ寄りのドメスティックタイプであり、そのスタンダード(理想像)は体型はずんぐり型、顔型も丸みをおびたものを要求している。私達の側でいつもゴロゴロとしていた日本猫は、日だまりでアクビをし、その後姿は短い尾をせいいっぱい上に持ち上げ、丸い大きなお尻をふりふり悠然と歩いていたものである。
 この日本猫の持つ愛らしさは、日本人である私達日本猫愛好者のみが知るものであり、その魅力を正しく伝えていくのは私達しかできないはずである。
 ジャパニズボブテールが間違った猫だというのではない。ジャパニズボブテールはそれなりに大きな魅力をそなえているし、立派に血流を作り上げつつある。しかし短尾の日本猫とはおのずから大きな違いがある。現在のところ計画繁殖、血統保存もされていない短尾の日本猫(自然固定はされている)を見て「これはジャパニズボブテールだ」などと間違った意見をもち、それを喜んでいたのでは日本猫愛好者として、また日本愛猫界として全く恥ずべきことのように感じる。

長尾日本猫の受難

 日本猫にはなぜ短尾が
多いのだろう。もちろん尾に異状をきたす遺伝因子は優性であるということも原因するが、その他に日本人が昔から短尾の猫を特に可愛がったこともその原因のひとつであるように思う。
 尾の長い猫は年をとると化け猫になり、その尾はふたまたにさけてくるなどという伝説まであるように、長尾の猫は嫌われ、ひどい話だが、その尾を小さいうちに切り落してしまったなどとも聞く。これらの理由から短尾の猫が愛され、いつしか短尾の猫が日本猫の主流になったと考えられる。

純血日本猫とシャム混血猫の見分け法

 最近純粋の日本猫が見直されつつあり、大変喜ばしい限りだが、この純血度がシャム猫に浸触されつつあるとの警鐘も鳴り始めている。これは果たしてどのくらいの速度で進んでいるのかは、全くつかめていないのが現状だ。ではどのようなものがシャム猫との混血種なのだろうか。
 一部では細長い顔をしたものや、体型が細いものがそうだとか思われているが、これはいちがいにいい切れない。
 発表されている日本猫のスタンダードは、たしかにずんぐり型に丸い顔を要求はしている。しかしこれはあくまで理想像であり、この理想像と違うからといって、純粋の日本猫ではなく、シャム猫が混血されているとは絶対にいい切れるものではない。
 ではどこで見分けたらよいのだろう。
 ドメスティックキャットというものは、その土地、その気候によりその条件に合う被毛をもっている。日本猫、いわゆる日本の土着猫は日本の風土に合うよう、そのアンダーコート(下毛)は比較的長くなっており、アンダーコートが無いといっても過言ではない程短いシャム猫とは全く異なる。このアンダーコートの長さが絶対的な決め手になる。シャム猫が混合されると、アンダーコートは非常に短くなり、見た目にもはっきりと違いが出てくるのである。
 オーバーコート(上毛)は非常にツヤのある毛質で、反対にアンダーコートは全くツヤが無い。アンダーコートが短くなれば、おのずと身体中が艶のあるオーバーコートにおおわれ、見た目には大変美しく光りかがやいて見える。
 この2点がシャム猫との混血種か否かを決定出来る唯一の方法といえる。

素晴しいドメスティックキャット、日本猫!!

 同じ日本猫でも寒い東北地方の猫と暖かい九州地方の猫では、そのアンダーコートの長さに違いがあるのを見ても、このドメスティックにの持つ素晴しいバイタリティを感じさせる。
 深夜の街を悠然とわがもの顔に歩いていた「タロー」、木に登っては降りられなくなり「ニャーニャー」鳴きさけぶ「カスリちゃん」、日だまりで細い目をしょぼつかせていた「チーコ」、赤い首輪の鈴を鳴らしながらやってくる隣の「ミヨちゃん」、想い出せばきりがない。
 こうして私達の愛猫心を、知らず知らず育て上げてくれた日本猫たち。そして彼らが私達に寄せる信頼度は、底知れぬほど深いのだ。私達は猫の魅力の原点ともいえるこのドメスティックキャットを正しく理解し、その魅力を失なわせないよう守ってやらなければならない。そしていつまでも彼らのベストフレンドに成り得るように心掛けてゆきたいものだ。

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FCCという団体についてはよく判らない。1980年に創設されたFCA(フレンドリー・キャット・アソシエイション)という団体があって、現在鈴木氏はFCAの事務局長とのことなので、FCAの誤りかも知れない。

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1988年に朝日新聞社から刊行された「猫 バラエティムック」に『フレンドリィ・キャット・クラブ FCC/日本猫保存会』が載っていました。どうやらFCCは現在のFCAの旧称ということのようですね。