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三省堂例解古語辞典⑰【こきまず】㈤ 1980年代

【こきまず】の各古語辞典の記述を比較してみる。〜その(3)

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★旺文社高校基礎古語辞典・初版(古田東朔監修、旺文社編集部編、1982年10月)
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こき-ま・ず(他ザ下二)〔「こき」は接頭語〕かきまぜる。まぜあわせる。
「見渡せば柳桜を━━・ぜて都ぞ春の錦なりける」〈古今・一・春上・56・素性〉
遠くはるかに都のほうを眺め渡すと、柳の緑と桜の紅をかきまぜにしたようで、この都こそが春の錦であったのだなあ。
[参考]紅葉の美を錦に見立てる「秋の錦」に対して、柳と桜の織りなす美を「春の錦」と見立てたところに作者の工夫がある。
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※「旺文社高校基礎古語辞典・第二版」(古田東朔監修、旺文社編集部編、1997年)も同じ。

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★学研新古語辞典(市古貞次編、1986年12月)
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こき-ま・ず【扱き混ず】{他ザ下二}{[成]「こき」は接頭語}
まぜ合わせる。かきまぜる。
「見わたせば柳桜を━━・ぜて都ぞ春の錦なりける〈古今・春上・56〉
[訳]はるかに見渡すと、新緑の柳と薄紅色の桜とをまぜ合わせて、この都こそがまさしく春の錦であったことよ。
[参]詞書に「花ざかりに京を見やりてよめる」とある。春たけなわの平安京をやや高いところから俯瞰展望した景をうたう。秋山の紅葉を錦に見立てる常套を転じ、柳桜の織りなす都の春景色を「春の錦」と断じたところに新鮮味がある。

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★全訳古語例解辞典・初版(北原保雄編、1987年1月、小学館
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こき−ま・ず【扱き混ず】〔他ザ下二〕いろいろの物を混ぜ合わせる。かき混ぜる。
[例]「見渡せば柳桜を━━・ぜて都ぞ春の錦なりける」〈古今・春上・56〉
[訳]見渡すと、柳の緑と桜の色を織り混ぜて、都こそが春の錦であったよ。
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※「全訳古語例解辞典・第三版」(北原保雄編、1998年1月、小学館)・「全文全訳古語辞典」(北原保雄編、2004年年1月、小学館)も同じ。

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★福武古語辞典(井上宗雄・中村幸弘編、1988年9月、福武書店
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こき−ま・ず【こき混ず】〔他ザ下二〕混ぜ合わせる。かき混ぜる。取り合わせる。
「見渡せば柳桜を━━・ぜて都ぞ春の錦なりける」〈古今・春上・56/素性〉

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