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三省堂例解古語辞典⑱【こきまず】㈥ 1990年代

【こきまず】の各古語辞典の記述を比較してみる。〜その(4)

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★要語全訳必修古語辞典(平田喜信編、1992年2月、学習研究社
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こき-ま・ず【扱き混ず】他ザ下二(「こき」は接頭語)かきまぜる。まぜ合わせる。
「見渡せば柳桜を━━・ぜて都ぞ春の錦なりける[釈]はるかに見渡すと、新緑の柳と薄紅色の桜とをまぜ合わせて、この都こそがまさしく春の錦であったよ)」〈古今・春上・56〉
[発展]用例は素性法師の歌。秋山の紅葉を錦に見立てる漢詩の詞句を転じて、柳桜の織りなす春景色を「春の錦」と断じたところに新鮮味がある。
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※「完訳用例古語辞典」(金田一春彦監修、小久保崇明・平田喜信・菅野雅雄・中村幸弘編、1999年4月、学習研究社)・「全訳用例古語辞典・第2版・ビジュアル版」(金田一春彦監修、菅野雅雄・中村幸弘編、2002年12月、学習研究社)・「学研全訳古語辞典」(金田一春彦監修、小久保崇明・平田喜信・菅野雅雄・中村幸弘編、2003年12月)・「学研学習用例古語辞典・改訂第三版」(金田一春彦監修、菅野雅雄・中村幸弘編、2015年1月編)もほぼ同じ。

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★ベネッセ全訳古語辞典(中村幸弘編、1996年11月)
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こき−ま・ず【こき混ず】[動詞]〔ザ下二段〕混ぜ合わせる。かき混ぜる。取り合わせる。
「見渡せば柳桜をこき混ぜて都ぞ春の錦なりける」[歌]〈古今集・春上・56〉
[訳]はるかに(景色を)眺めると、(緑の)ヤナギと(紅の)サクラとを(見事に)混ぜ合わせて都(そのもの)は春の錦(を敷きつめたよう)であったよ。
[発展]「こき」は接頭語。

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★ベネッセ古語辞典(井上宗雄・中村幸弘編、1997年11月、ベネッセコーポレーション
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こき−ま・ず【こき混ず】〔他ザ下二〕混ぜ合わせる。かき混ぜる。取り合わせる。
「見渡せば柳桜を━━・ぜて都ぞ春の錦なりける」〈古今・春上・56/素性〉
[訳]はるかに京を見渡すと、新緑の柳は紅の桜をとり混ぜて、都がまさに春の錦であるのだなあ。
[参考]詞書に、「花盛りに京を見やって詠んだ、とある。眺望のきく高みから臨んで、都全体を緑と紅の織り込まれた錦とみた。「春の」とあるのは、ふつう、錦と見立てられるのが秋の山の紅葉であるため。

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★古語林(林巨樹・安藤千鶴子編、1997年11月、大修館書店)
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こきま・ず【扱き混ず】〘他ザ下二〙種類の違うものをまぜ合わせる。
[例]見渡せば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける(素性)〈古今・春上・56〉
[訳]はるかに京の町を見渡すと、柳の緑と桜の淡紅をまぜあわせて何とも美しい景色、この都こそが、春の錦の織物だったのだなあ。
❖山の「秋の錦」に対する春の都の美を歌う。
❖「こき」は接頭語。
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※「大修館全訳古語辞典」(林巨樹・安藤千鶴子編、2001年11月)・「新全訳古語辞典」(林巨樹・安藤千鶴子編、2017年1月)もほぼ同じ。

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★ベネッセ全訳コンパクト古語辞典(中村幸弘編、1999年11月)
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こき−ま・ず【こき混ず】[動詞][他]〔ザ下二段〕混ぜ合わせる。かき混ぜる。取り合わせる。
【発展】「こき」は接頭語。

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