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知恵袋の回答/2019.7.2B

標準語の形成について

その②
国語学辞典(国語学会、1955年、東京堂出版

❂国語調査委員会

国語に関する国家的調査機構の必要は、明治29年ごろ上田万年によって強調されたが、33年2月、貴族院衆議院から政府に送られた「国字国語国文ノ改良ニ関スル建議」が直接の動機となって、同年4月文部省に国語調査委員会が設けられた(委員長、前島密)。これは国語調査の基本的方針を定める予備的調査のためであって、その結果、35年3月、国語調査委員会の官制が公布され、同会は文部大臣の監督に属し、国語に関する事項を調査すること、委員長一名と委員15名以内で組織し、定員外の臨時委員をも設けうることが定められた。
4月、男爵加藤弘之が委員長に、嘉納治五郎井上哲次郎沢柳政太郎上田万年三上参次高楠順次郎・重野安繹・徳富猪一郎・木村正辞・大槻文彦前島密・渡部菫之介が委員に、林泰輔・保利孝一・岡田正美・新村出・大矢透が補助委員に任ぜられた。その後、委員に、金沢庄三郎・藤岡勝二・大矢透・服部宇之吉・松村茂助・田所美治、臨時委員に元良勇次郎・松本亦太郎・佐藤誠実、補助委員または調査事務嘱託として、山田孝雄亀田次郎・本居清造その他が加わった。
同会は同年6月までの間に9回の会議を開いて調査方針を決定し、これを官報に発表した。その主たる事項は、
「一、文字ハ音韻文字ヲ採用スルコトトシ仮名羅馬字等ノ得失ヲ調査スルコト
 二、文章ハ言文一致体ヲ採用スルコトトシ是ニ関スル調査ヲ為スコト
 三、国語の音韻組織ヲ調査スルコト
 四、方言ヲ調査シテ標準語ヲ選定スルコト」
であるが、また別に目下の急に応ずるためとして、漢字節減、現行普通文体の整理、書簡文、その他日常慣用する特殊の文体、国語かなづかい、字音かなづかい、外国語の写し方等が調査事業とされた。かくて、大正2年6月同会が行政整理によって廃止されるまでに公になった研究成果は、およそ次の如くである。
◯国語国字改良論説年表◯片仮名平仮名読ミ書キノ難易ニ関スル実験報告◯方言採集簿◯送仮名法◯現行普通文法改訂調査報告之一◯音韻調査報告書◯音韻分布図◯口語法調査報告書◯口語法分布図◯漢字要覧◯疑問仮名遣◯仮名遣及仮名字体沿革史料◯仮名源流考、同証本写真◯周代古音考、同韻徴◯平家物語につきての研究◯口語体書簡文に関する調査報告◯口語法◯口語法別記
【意義】
国語調査委員会は国語に関する国家的機関の最初のものであって、国語問題解決に目前に寄与する点が少なかったとの非難もないではないが、国語研究史上においては、これらの業績は、きわめて大きな価値を有するものである。《吉田澄夫