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辞書における『ねこ』㈠その2.広辞苑etc.

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言海大槻文彦、1889年、六合館)

ねこ(名)猫(ねこまノ下略、寝高麗ノ義ナドニテ、韓國渡來ノモノカ、上略シテこまトモイヒシガ如シ、或云、寝子ノ義、まハ助語ナリト、或ハ如虎ノ音轉ナドイフハ、アラジ)
古ク、ネコマ。人家二畜フ小キ獸、人ノ知ル所ナリ、温柔ニシテ馴レ易ク、又能ク鼠ヲ捕プレバ畜フ、然レドモ、竊盗ノ性アリ、形虎ニ似テ、二尺ニ足ラズ、性、睡リヲ好ミ、寒ヲ畏ル、毛色、白、黒、黄、駁等種種ナリ、其睛、朝ハ圓ク、次第ニ縮ミテ、正午ハ針ノ如ク、午後復タ次第ニヒロガリテ、晩ハ再ビ玉ノ如シ、陰處ニテハ常ニ圓シ。


★大辭典(上田萬年他、1936年、平凡社

ネコ 猫・貓 
①Felis domestica L. 食肉目ネコ科。ネコは寝子にしてよく寝るに依るともいひ、又ネは鼠にしてコは好の略、或は寝高麗(ねこま)の略なりといふ。家畜として古來飼養さる。本邦の猫は印度地方産の山猫を馴化せるものなりといふ。猫の品種はヨーロッパ種の外、アンゴラ・サイアム・マライ・無尾・パラグェー種等あり。我國に於ける猫屬の野生獸類はヤマネコ・ユキヘウの二種の外朝鮮に三種、臺灣に三種を見る。色相に依り鯖猫・雉猫・虎猫等に區別す。
本草綱目[平]「貓、貓苗、其名自呼」
枕草子「上にさぶらふおんねこはかうぶり給はりて、命婦のおもととていとをかしければ、かしづかせ給ふが」
源氏・若菜上「から猫のいと小さくおかしげなるを、すこし大きなる猫のおひつづきて」
著聞集・二〇「ある貴所にしろねと云ふ猫を飼はせたまひける」
②三味線の異名、その胴を猫の皮で張る故にいふ。
③轉じて女藝者の異名、三味線を持つ故にいふ。
④食中におき、臥して足を暖める小さい蓋のある火入れ。土製または陶製にして、多くは猫の形に作り前後に數箇の孔を穿つ。猫火鉢。
⑥猫車の略。
⑦猫いらずの略稱。『猫自殺』
⑧本性をつつみ隱してあらはさないこと。知って知らぬふりすること。又その人。
仁勢物語・下[江]寛永「古へはありもやしけむ今はなし鼠のねこをかぶるものとは」
『猫をつかふ』
⑨猫の背のように、背の曲ってゐること。又その背の曲った人。猫背。
『不動の姿勢をしてねこを直す』
⑩猫臺に同じ。
⑪猫石に同じ。
⑫猫木に同じ。
⑬鞴を押す時風の出て行かざる様に鞴の中に取附けたる革片。(日葡)
⑭所作事・長唄。綜合本名題、三扇雲井月。櫻田治助作詞・二世杵屋六三郎作曲・中村彌八振附。安永二年八月江戸中村座けいせい片岡山第二番目所演。四代岩井牛四郎七變化所作事の一。


広辞苑・初版(新村出、1955年、岩波書店

ねこ【猫】(鳴き声に接尾辞「こ」の添った語)
①食肉目ねこ科の家畜。エジプト時代から人に飼われ、偶像化され、神聖視された。現在では愛玩用、鼠駆除用などとして広く飼養されるが、イヌと異なり、多くの野性的性質を今なお保有しているので、悪いことのたとえにされ易い。革は三味線の胴張りに用いられる。ペルシャ猫・アンゴラ猫など品種が多く、また毛色により、三毛猫・烏猫・虎猫・雉猫などに区別される。和名ネコ。古称ねこま。
②(猫の皮で張るからいう)三味線の異称。
③(三味線をつかうからいう)芸妓の異称。
④本性を包み柔和らしく見せかけること。知って知らぬふりをすること。また、その人。「━━をかぶる」
⑤猫火鉢。
⑥猫背。
⑦猫車。
[派生語]省略


広辞苑・第五版(新村出記念財団、1998年、岩波書店

ねこ【猫】(鳴き声に接尾語コを添えた語。またネは鼠の意とも)
①広くはネコ目(食肉類)ネコ科の哺乳類のうち小形のものの総称。体はしなやかで、鞘に引きこむことのできる爪、ざらざらした舌、鋭い感覚のひげ、足うらの肉球などが特徴。一般には家畜のネコをいう。エジプト時代から鼠害対策としてリビアヤマネコ(ヨーロッパヤマネコ)を飼育、家畜化したとされ、当時神聖視された。現在では愛玩用。在来種の和ネコは、奈良時代に中国から渡来したとされる。古称、ねこま。
枕九「━━を御ふところに入れさせ給ひて」
②㋐(猫の皮を胴張りに用いるからいう)三味線の異称。
 ㋑(三味線を使うところから)芸妓の異称。
③猫火鉢の略。
④猫車の略。
⑤ふいごの内側についていて、空気の出る孔をふさぐ革。〈日葡〉
[派生語]省略


★岩波国語辞典・第三版(西尾実岩淵悦太郎水谷静夫、1979年、岩波書店

ねこ【猫】
①古くから人間の愛玩用として、また、ネズミを取らせるなどのために、飼い親しむ、ねこ科のけだもの。犬が忠実だとされるのに対し、魔性のものとも言われ、またのどを鳴らして人にすり寄る姿を媚態になぞらえたりする。雄の三毛猫は少ないので、福をもたらすと言われる。
②㋑三味線。▷胴をネコの皮で張るから。
 ㋺芸者。▷三味線を使う職業だから。
③土製の、火を入れ布団の中に置いて暖を取る道具。ねこあんか。ねこ火ばち。
④「ねこぐるま」の略。
※第四版(1986年)も同じ


三省堂国語辞典・第三版(見坊豪紀金田一京助金田一春彦柴田武、1982年、三省堂

ねこ〔猫〕(名)
①〔動〕家に飼う小形のけもの。じょうずにネズミをつかまえる。「借りて来た━━のようにおとなしい」
②〔俗〕芸者。
③ねこぐるま。
[派生語]省略


新明解国語辞典・第四版(金田一京助柴田武・山田明雄・山田忠雄、1989年、三省堂

ねこ【猫】
①家に飼う小動物。形はトラに似て、敏捷。暖かい所を好み、ネズミをよくとる。また、愛玩用。〔ネコ科〕「三毛━━・黒━━・ペルシア━━」
②土製の行火。
③三味線・芸者の俗称。〔三味線はネコの皮を張るので言う〕
④「猫車・ネコヤナギ」の略。
[かぞえ方]①は一匹
[派生語]省略


講談社カラー版日本語大辞典・初版(梅棹忠夫金田一春彦阪倉篤義日野原重明、1989年、講談社

ねこ【猫】
①ネコ科の哺乳動物。主として愛玩用に飼育される。爪・歯は鋭く捕食生活に適応。ペルシアネコなどの長毛種と、シャムネコなどの短毛種に大別される。カイネコ。イエネコ。cat [数え方]一匹
②〘猫の皮を張ったところから〙三味線の異称。
③〘三味線を使うところから〙芸妓・芸者の異称。
④足をあたためる土製の器。
⑤「猫車」の略。


★新世紀ビジュアル大辞典(金田一春彦石毛直道村井純、1998年、学習研究社

ねこ【猫】
①哺乳綱ネコ目(食肉目)ネコ科の小動物。エジプトで、リビアヤマネコを飼いならしたものとされ、世界各地で昔から愛玩用・ネズミ駆除用として飼われる。四肢は長くて跳躍力に富み、引っこめることのできる鋭いつめがある。長いひげが触覚の役をする。舌には多数の突起があり、体毛の手入れや食物をなめ取るのに適する。肉食性。シャムネコ・ペルシャネコなどの品種がある。cat
▷広い意味では、ネコ科の総称。ネコ・ヒョウ・ウンピョウ・チーターなど4属36種がある。
②三味線の別名。胴にネコの皮を張ることから。
③芸者の別名。三味線を用いることから。
④ふとんの中に置き、手足を暖めるのに使う土製のあんか。
⑤ねこぐるまの略。
[派生語]省略


🔷広辞苑は意外なことに初版の方が5版より詳しい。
健闘しているのが大辭典で、1936年の刊行でこの内容は驚く。(品種のパラグェー種など首を傾げるものもあるが)



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