しこしこ書くブログ

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知恵袋の回答(2021.4.23)

「生きている日本の方言」(佐藤亮一、2001年、新日本出版社)にはこんな記述がありました。


 『日本言語地図』(1966年、国立国語研究所)の「塩辛い」の図では、東日本の大部分がショッパイ、西日本はおよそカライであって、東西対立分布の一典型である。そのほか全国的にシオカライが散在し、東京にはショッパイとカライとシオカライが混在している。東京では元来、東日本方言のショッパイに覆われていたが、その後、西日本からカライとシオカライがもたらされ、現在の状態になったと推定されている。ショッパイは話しことば的かつ俗語的で、標準語形はシオカライかカライのいずれかであるとされているが、辞書の中には三者を区別なく見出しとして立てているものもある。
 『東京都言語地図』でも、老年層の図では、ショッパイ、カライ、シオカライ、ショッカライなどが錯綜しており、都区内・多摩地区を通じて地域差は認められない。しかし、若年層の図では大部分がショッパイであり、ほかには山の手線の周辺にシオカライがわずかに見られ、カライは多摩地区の二地点に存在するにすぎない。この分布を見る限り、将来はショッパイが標準語形の地位を奪いそうに見える。しかし、これは「日常の話しことばの実態」を調査したものであるから、東京の若者が書きことばでもショッパイを多用するかどうか見きわめなければ、将来の標準語形を占うことはできない。
 『日本言語地図』によれば、ショッパイは西日本では皆無に近い状態である(わずかに一地点、福岡県飯塚市でカライとショッパイの両形を答えた者がいる)が、東京の若者の間で優勢になっているショッパイは、その後、果して西日本に広がりつつあるのだろうか。この点に関する十分なデータはないが、岡野信子(1985)によると、北九州市下関市で行った調査では、50歳代以上ではカライとシオカライ(前者が優勢)であるが、30歳代からショッパイが出現し、10歳代ではショッパイが優勢になる。このことは、東京地方の若年層の話しことばが、俗語臭を持つものであっても、共通語として全国に広がっていくことを示すものとして注目される。