しこしこ書くブログ

特にテーマは決めずに書きます

形容詞本活用の未然形について

形容詞本活用の未然形については

①未然形を認めない
②接続助詞「は」が下接する場合に限り未然形を認める

の二つの考え方があります。


例えば伊勢物語82段の

おしなべて峯もたひらになりななむ
山の端なくは月も入らじを

という歌の「なくは」は、古くは「なくば」と読まれ、【「無し」の未然形「無く」+接続助詞「ば」】と考えられていました。

ところが、橋本進吉氏が「万葉集ではこのような箇所には『波』の字が使われており、これは清音の『は』を表す字なので、『なくば』ではなく『なくは』であり、【「無し」の連用形+係助詞「は」】である。従って形容詞本活用には未然形は無い」と述べた事で、形容詞本活用の未然形は無いとの見解が主流になりました。

これに対して「この『は』は係助詞ではなくて接続助詞の『ば』が清音化したものであって、形容詞本活用に未然形はある」と主張する人も出て来たのですが、「ゆくさきおほく」の場合は「は」に接続しているわけでは無いので、①説②説のいずれでも未然形とは認められず、連用形と考えるしかありません。
この場合は連用中止法でしょう。